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2010年6月2日水曜日

奥田民生:ひとりカンタビレ at PARCO劇場 2010/4/29 ライブレポ①

6時10分前くらいに会場に入ると、もうすでに舞台上には民生さんの姿が。
忙しそうにパソコンに向かって作業中。

 向かって左手にはドラムセット(マイク10本)、その奥にはアンプが縦2台、横3台、中央にはソファーとテーブル、向かって中央右手には民生さんのパソコンの作業テーブル(マイクつき)。向かって右手奥には、ギター数本、ベース数本が立てておかれている。

「こういう劇場だって知らなかった・・・。席がまずいですね。見られてるの嫌だなぁ。」
「見て見ぬふりしてください。」
「今日静かなんだよな・・・。騒いでも(録音は)大丈夫ですよ。」

 パルコ劇場は、お芝居がメインの劇場なので、これまでのライブハウス形式と勝手が違う様子。少しナーバスになっている民生さん。

 そしていよいよカンタビレスタート。

 まず、録音手順の説明がある。使用しているミキシングソフトは”pro tools”(プロトゥールズ)だそうです。パソコン画面上で、録音した音にPUNCH IN、イコライザーなどの加工を加えたり、ミキシング操作をして各楽器のバランスをとるそう。

①ドラム録り
 民生さんが一人でドラムをたたくのを生で見るのは初めて。さすがにうまい。1発OK!

②ベース録り
 ベースは買ったばかりの、B級グルメ的な、ギブソンの偽物エピフォンだそう。最近ちょっとチープな音の方がお好きなんだそうです。

 「マイク関係ないから、しゃべってて大丈夫ですよ。」
 お客さんへの気遣いを常に忘れない民生さん。やさしくて素敵。

 ベースは順調そうに見えたけど、中盤でちょっと間違う。

 「間違えた・・・。チクショウ・・・。どこだよ・・・。」

 独り言をいいながら、画面上のベースの音の波形を見て、間違えた場所を探す民生さん。

 「今からPUNCH INという高度なテクニックをやります。」
 PUNCH INとは間違えた部分から、曲の途中で音を入れていく手法だそう。

 「はい、多分大丈夫、ベース終了」

 ここで、舞台上のスクリーンに映し出された、protoolsの画面を説明してくれましたが、 あまりよく見えず、わかりませんでした。

③ギター録り(3本)
 1本目: Gibson 335 black

 「中学生レベルです。コードも簡単です。」

 チューニングが終わり、ギターを弾き始めた民生さんに異変が!

 
 「気絶してる? 強烈に!! 台無し!」 「やべーいきなりピンチ!」


 何事かと思うと、突然パソコンがフリーズしてしまったのでした。焦る民生さん。
 
 「とりあえずトイレ休憩!」


 結構重大なトラブルのようで、民生さんがパソコンの画面をじっと見つめたまま、動かなくなってしまった。どうなる、ひとりカンタビレ!!

 5分くらいたって、スタッフが2~3人出てくる。みんなでいろいろやってるけど、解決の様子なし。

 民生さんはパソコンを見つめて苦笑い。どーしたもんかって感じ。机の前に腕を組んで立ち尽くし、じっと画面を見つめる民生さん。

 
 さらに5分ほどたつと、音が鳴る。復旧したみたい。

 「直ったー!いやー、ひとりカンタビレこけるかと思った。今カープが0-8で負けてるんですよ。 そのせいじゃないか?」


 再び1本目のギター録り。
 
 「ギターね、もう間違えたりしてる場合じゃなくなってきた。」


  一本目のギターは、優しい音色で、同じフレーズが繰り返される。多分伴奏のベースになる部分なのでは?と思う。ゆったりとしたリズムで、ビートルズのアコースティックな曲のような感じを受けた。

 2回目は順調に録音が進む。やっぱりギターを弾く民生さんはとてもかっこいい。弦を押さえる左手のきれいな指の動き。肩の力が抜けて、すごく楽しそうに弾いている。

 「チクショウ、最後間違えた・・・。集中力が・・・。終わったと思った瞬間に・・・。」
 (小声で)「大きな声を出すとまたこいつの機嫌が・・・。」
 
 録音できたことを確認し、「よし、次!」

 「いやー動揺したわ・・・。壊れちゃいかんよ、こんなときに。」とパソコンを叱る。かわいい。


2本目: Gibson (木目調ギター)

 「これは高校生レベルです。アルペジオといって同じ旋律の繰り返しです。」
 「音にうっすらビブラートがかかります。ではいってみまーす。」

 1本目よりも少し明るく、軽い音色で、クリアな優しい音でした。

 弾き終わって、録音を確認して、
 「セーフ!ちゃんと録れただけでこんなにうれしい!」 と喜ぶ民生さんがまたかわいい。


3本目:イントロ・途中のソロパートなど(Gibson LesPaul)
  
 「(今日のギターの中で)1番高いギター。ちょっとずつ出して自慢してるんです。」

 
 そのとき、民生さんが、「あー、びっくりした!」
 なんと、ドラムのしーたかさん(ふるたたかしさん)が会場に来てて、ビールを購入中。握手攻めにあう  しーたかさん。


 (1) イントロ

 しーたかさんが座席に着くと、いよいよイントロの録音。

 これまでのギターより、すこし高音がきつめな感じ。
 
 「これONするんだわ。」

 と何やら古い機械の電源を入れる指示を出す。なかなか動かない機械に、
 「俺の機材はボロボロばっかりか。」とツッコミを入れる民生さん。

 その機械は、古いテープリールを回して、ギターの音にエコーをかけるものらしい(がよくわかりません)。
  
 「また気絶してる~。」ついに電源ON!
 すると、録音したギターの音がさらにクリアに。


<閑話休題>
 民生さんがギターの演奏を間違えると、勤労の阿部さんコーナーで流れていた「チャンチャン」という音とともに、舞台の照明が赤に変わります。

 「お!(照明の)反応早いなあ。」「もう1回(録音)お願いします。」

 その後もう一度チューニングをし、再度録音。

 その間民生さんが、「僕の機材はそろそろ壊れるお年頃だもん。」とつぶやく。
一言一言になんか味がありますね。

 ギターのイントロは、アコースティックな感じの、明るいメロディーでした。


(2) 2番に入るところ
 また間違えると、今回も素早く反応する照明。
 「照明の反応いいですねぇ。」

(3) エンディング
 録音した音にエコーをかける時にクビを振る民生さん。
 「セーフ、セーフ」「どんだけ心配かけんねん。」とまた機械に一人ツッコミをいれるのでした。

(4) ギターソロ
 「次にソロ….ソロみたいな、だよ。」「ギターソロなんて1回で出来ないよ。」
 と予防線を張った上で、演奏をされます。

 「惜しいなあ。途中かな? ああ、これね、(もう1回)録っとこうかな?」
 ぶつぶつと独り言をいいながら、パソコンの画面を見て作業をする民生さん。
きっとお家でもこうやって録音してるんだろうな、と民生さんのプライベートを覗き見ている感じ。

 「急な速弾きとか入れたからおかしくなったんだな。」

 もう1度録り直し。大画面に民生さんの左手が大写しになり、速弾きの指の動きがよく見える。すごい。
鳥肌が立つ。

 
 録音した音を聴いてクビをかしげる民生さん。
 「後半の方はばっちりなんだけどなあ。」
 「もう、そんなに出来ないんだよ!」
 ちょっと飽きて来た様子。速弾きに手こずる。

 「さっきのとこれを上手く合体させればいいんだろ?」
 パソコン上で、2回目のテイクの後半と、3回目のテイクの前半をつなげる民生さん。
 
 「アナログ時代は、直す時に、そこだけ(録音機材の)スイッチを押してたけど、今は全部を録って、(パソコンの中に)溜めておける。自分で消さない限り残っていくからね。」
  
 「今日のはなかなかいい! 波形でわかる!」
 「ギターはこれで終了!」

 ギターあたりから、ビールに加えて、ワイルドターキーをロックで飲みだした民生さん。かなりテンションが上がっている模様。録音した音を聴く時もノリノリで、本当に楽しそう。

 「ちょっとトイレ行ってきていいかな?(パソコンのトラブルで)動揺したままなんだよ。ビールばっかり飲んでるからかな?」
ということで、ここでまたトイレ休憩。


  録音の過程を人に見せる、それもエンターテイメントとして見せる、というのは、想像以上にめんどくさいことだと思う。民生さんも、「一応家でプロセスを考えて、練習してきてる。」とおっしゃってたし。家でなら、録音の作業だけに没頭出来るのに、きちんと次に何をするのか説明しながら、お客さんに「今は聴かなくてもいいところだよ。」とか言ってくれる。このカンタビレは民生さんのサービス精神の表れだなと、あらためて思いました。

続きはライブレポ②で!

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