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2010年6月3日木曜日

観劇日記:「変身」 at ブリーゼホール 2010/04/02 出演:森山未来、演出:スティーブン・バーコフ 

2010年4月2日の金曜日、森山未來の「変身」をブリーゼホールに観に行く。
カフカの「変身」は主人公がある日虫に変身してしまうという話だが、その虫をどのように表現するのか興味津々だった。

森山未來は衣装などを一切変えず、パントマイムと発声だけで見事に虫になっていた。 手足、指先、体の隅々にまで神経を張り巡らし、身体全体で虫を表現する森山未來の演技に圧倒された。本当に虫に見えて気持ち悪かったほどだ。すごい役者だと思った。

スティーブン・バーコフの演出も素晴らしい。鉄の棒だけで組み立てられた、シンプルな舞台装置。役者の動きと造形は計算され無駄がない。光りと影を効果的に使った照明。音響。どれも非常にシンプルだが、その全てが組み合わされたとき、 舞台が何よりも雄弁に観客に語りかけてくる。

ストーリーにも全く古さを感じなかった。虫になった主人公を抱え混乱する、家族の、というよりは人間の弱さ、ズルさ、醜さが浮き彫りになる。パンフレットにも書いていたが、社会的弱者、被差別者に対面したとき、人が本能的に感じてしまう嫌悪感、それを隠そうとする偽善や葛藤が実に見事に表現されていた。

改めてカフカを読み直したくなった。

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