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2010年6月2日水曜日

奥田民生:ひとりカンタビレ at PARCO劇場 2010/4/29 ライブレポ②

ギター録音の続きから:
パソコン上で音源の微調整。ドラムの頭を消したり、イントロ終わりで音をreverse(逆回転)させて、ギュワーって感じにする。

「デジタルだとreverseも簡単なんですよ。」
 といいつつ、いろいろなパターンをやってみせてくれるけど、いまいち違いがわかりませんでした。

ギターの音を少し足すようで、
「これよく使うやつね。ギブソンのレスポールOT CUSTOMモデル。」
 といいながら、よく見る白いギブソンのレスポールを手に取る。

「チューニングが大事ですから。これちゃんとやらないと宮ちゃん(エンジニアさん)に怒られる。」

「(ギター)終わりです!」
 とすかさずお客さんから「保存!」という声が飛ぶ。
「そうそう、保存、保存。」


次はいよいよタンバリン&歌入れ!! 


④ タンバリン

「タンバリンは割と自信あります。軽く見られがちですが、難しいんだよね。
 バンドの中でやれって言われたら、ドラムの合間を抜かないといけないから、ドラムに合わせないといけない。」
とタンバリンに対するこだわりを熱く語る民生さん。
  
タンバリンと鈴を両手に持つが、
「鈴は必要あるかな?」

「結構テンポが遅いと難しい。」
と顔をゆがめてタンバリンを叩く。


「タンバリンはさっきのギターの8割増しで難しい。タンバリンがこけると、曲がこけるでしょ?」

そういえば、「僕らのワンダフルデイズ」でも、竹中直人さんにタンバリンのたたき方を指導したといってはったよなあ…。

「タンバリンOK!」 客席から「保存!」


ここでちょっと長めの民生さんMC:
「今日からprotoolsというソフトをupgradeしたんです。いいやつになったんです。したらトラブルが起きたんです。やっぱり今まで使ってたやつを使う方がよかった。音はそんなに変わらないし。」

「家でやってるときは、イメージがあって、ぼんやり、ぐたぐたで。ギターのフレーズもやってみたら違うなあ、とか思って、たらたら時間がかかります。でも、(このカンタビレは)一応やることは決めて、家でシュミレーションして臨んでます。」


やっぱり準備相当大変なんだろなあ。


「皆さんにも参加してもらいましょうか? もうすでに(こんなメロディーだと)作ってる人もいるでしょ?(だから僕の歌を聴くと)漫画のリョーツ(?)が初めて喋ったときみたいな?(違和感あるでしょ)」

お酒も回り、かなりハイテンションの民生さん。

「漫画って!」と自分に突っ込みを入れる。

「(こんなに酔っ払ってて)歌だいじょぶかな?」


いよいよ歌入れ!曲の全貌が明らかに!!



⑤歌入れ

(1)発声練習

「今はムードでやります。」
「あの曲をあんなに酔っ払ってやったんだ…。(と後から思うんだろうね)」
本番に向けて歌を練習する民生さん。

ここで民生流歌唱指導:
「(歌を歌う時に)大事なのはリズム。歌の場合は音程はどーでもいい!ってことはないけど…。」
 
するとお客さんから質問:「メロディーが先に浮かんぶんですか?」

「僕の場合はメロディーが先に浮かぶ。でもそれを鼻歌で歌う時でも、(そのメロディーにあう)口の動かし方 が決まっている。その中から合う言葉を探してつぎはぎにします。言葉の意味だけにこだわると、歌ったときに“違うかな”ということがある。」


民生さんの、メロディに乗せる言葉の響きに対するこだわりが聞けた瞬間でした。


(2)本番

なぜか「かすかに…」という歌詞で笑ってしまう民生さん。
テイク3、テイク4と重ねていくが、納得できない様子。

4テイクめの録音を聞いて、
「後半駄目だな。もっかいやっていいですか?だんだん酔っ払ってきたな…。」

「いつものレコーディングだと、こういう風にやる時もあるし、3回くらい歌ってからどれがよかったかってやる時もある。どうしてもこの1か所をどうにかしたい、というところは、他所から持ってくることもあるけど、僕はあんまり気にしない。細かい人は“もう1回!”ってなるけど、僕は3回やったら飽きます。」


さらにテイクを重ねますが、「さすがに真ん中ぐらいから行かしてもらいます。」


歌入れに関しては、「出だしがだめじゃん。」とか、「後半が…。」とか、やっぱりそうは言いつつも一番こだわってらっしゃるように見えました。


「さっきの出だしだけもっかいやらしてください。急に(声)出すと声が裏返る。最初に弱いんです。」

「PUNCH IN、PUNCH OUTしてるところも見所やで~。」とのこと。


ソフトのイコライザー機能で録音した音にカラオケのようにエコーをかけます。
「delay(音の残響?)もテンポに合わせてます。すると、ドラムの裏から聞こえたりして、グルーブが出るんです。」


「全部でリズムを出すんです。歌も楽器の一つで、すべては曲のグルーブを生み出すためにある。」


民生さんの曲作りの信条が聞けてうれしい。


(3)ハーモニー付け

「(何回か)やり直すんで、そんないちいちちゃんと聴かなくていいよ。」
と言われても、やっぱり聴いてしまいます。

サビのコーラスを入れ終わって、
「多分出来てますよ。パソコンよく復帰してくれました。(あの時は)もう帰ろうかと思いましたよ。」

客席からまた「保存!」の声。


「これでほんとに全部なのかな?ガッガッ(打ち込み?)とか入れなくていいですか?(笑)」
 
やっと仕上がって、少しホッとしたのか、冗談も出ます。



⑥ 曲の完成!
  
いよいよタイトルがバックスクリーンに映し出されます。


     タイトルは「音のない音」


ゆったりとした曲調で、やさしい、民生さんらしい繊細な歌詞と曲でした。
音楽でなくても、「音」は周りにたくさんあって、それを感じながら暮らしてらっしゃる(ミュージシャンだから当然か)民生さんの感性の鋭さ、感受性の豊かさが表れている曲だなと思いました。


1度完成バージョンを聴いて、9時30分を過ぎたころ、お開きになったのでした。


民生さん、お疲れ様でした。これを各会場で毎回違う曲でやってらっしゃるんですよね。
民生さんのprofessionalismを存分に見せていただいて、楽しませていただきました。
ありがとうございました。

 
曲はすでに配信済みですので、そちらを聴いてください。


以上でレポート終わりです。

長いのに読んでくださった方々、ありがとうございました。

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